クレーマー恐子
さて、以前私の旦那が恐子さんに仕事の依頼を受け、フェンスを設置した話を書きました。
こちら↓のその後の話です。
イメージと違ったからという理由でやり直しを要求されて断ったのですが、それで引き下がるような恐子さんではありません。
会社にクレームを入れられました。
施工が荒く、フェンスの一部分に傷が付いている箇所があるとのこと。
旦那も旦那と一緒に取り付けに行った同僚も、寝耳に水で全く身に覚えがなかったそうです。
現に引き渡し時に、一緒に確認もしてもらい、不備がないことを証明するためにサインもしてもらっているそうです。
恐子さんは、取り付けに来た人ではない人を寄越してくださいとのことだったそうです。
小さな会社なので社長が出向くことになりました。
その間、園では相変わらず私に対して挨拶をすることなく、チラチラこちらを見ながら愚痴を言っているようでした。
帰り際に、
「出来損ないの旦那で気の毒・・・」
「普通は仕事もらったら手土産の一つくらい持ってくる。」
「1回しかお礼を言わない。感謝の気持ちが〜・ぉ・・」
など聞こえよがしに言われ、いつもにも増して嫌な気分になっていました。
恐子さんと顔を合わす度にお礼を言わなきゃいけなかったのか?
手土産ってくれくれママかよ。
本当に腹立たしい思いでしたが、必死で耐えました。
旦那の会社の社長が恐子さん宅に話を聞きに
出向きました。
問題の箇所を確認すると、小さな細い傷が数カ所ガリガリとついていたそうです。
施工時につくような傷ではなく、尖ったものでガリガリやったようなものだったそうです。
会社規定でフェンスには2年間の保証がついているが、第3者や入居者の故意や過失によるものは保証対象外であること、引き渡し後の申し出も対象外ということでこちらもサインをもらっていました。
このようなことから、社長は保証の対象外ということを告げたそうです。
そうすると、恐子さんは不機嫌になり、
「作業に来た人が無愛想で挨拶をきちんとしなかった。詐欺中に喋るばかりで手を動かしてなかったように見えた。社員教育がなっていない!」
など次々と文句を言ったそうです。
態度については申し訳ありませんでしたと頭を下げて帰ったそうです。
社長からこのことを聞いた旦那や一緒に作業をした同僚は、挨拶もきっちりしたし、必要なこと以外は喋っていないとはっきり伝えだそうです。
作業中に恐子さんが喋りかけてきたので、それに関しては2人とも答えたりしたそうですが・・・。
旦那は帰宅後、
「こんなことになるなら仕事なんてもらわなければよかった。やっぱり恐子さんは思い込みで突っ走る人だから気をつけなければいけない。」
ととても疲れているようでした。
恐子さんとランチやお茶に行っていた時、恐子さんは店員さんにもクレームをつけることが多かったような気がします。
恐子さんは、かなり細かいところまで見る人で、コーヒーのカップやスプーンの向きがおかしいとか、
「○○円になります」
と言った店員さんに対して、
「○○円です、でしょ?○○円に"なる"わけではないでしょ?」
と文句を言ったりアンケートに記入したりして得意顔になっていたことを思い出しました。
些細なことで文句を付けて、オロオロしている店員さんを見ている時の恐子さんはとても嬉しそうでした。
心の中が表情にもはっきり出ていたのです。
まさか恐子さんがらみの災難が、旦那にまで降りかかってくるとは・・・。
あの手この手を使って私(私の家族)をどん底に陥れたいんだろうなと感じました。
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ママの影響
ママの言動は子供に影響すると言いますよね。
現にうちの娘も私と同じような言い方を友達にしている時があります。
恐子さんの娘さんのAちゃんも、恐子さんの影響をモロに受けているなあと感じる場面が多々ありました。
恐子さんがI先生の悪口を言いだす前は、AちゃんはI先生が大好きでした。
遊びの時間は必ずと言っていいほどAちゃんはI先生にベッタリでした。
ところが、恐子さんがI先生の悪口を言い始めた頃から、AちゃんのI先生に対する態度が変わっていきました。
遊びの時間も、「I先生とは遊ばない!」
「I先生なんかかわいくない!」
「I先生はRくんのことだけが好きなんだよ!」
おそらく、恐子さんがAちゃんの前でも平気で悪口を言っていたのでしょう。
フェンス事件以降、あんなに仲の良かった娘わんことAちゃんの関係も亀裂が入ってしまいました。
わんこがAちゃんの隣に座ると、「わんこちゃんの隣は嫌だ!」と言われたり、
「わんこちゃんが私の髪真似した!」
「わんこちゃんより私の方がかわいい」
「わんこちゃんは女の子なのにいっぱい毛が生えてる!変なの!」
こんなことを頻繁に言われ、幼稚園で涙が出てしまう日が続いたこともあります。
セレブ さんのお子さんに対しても同様でした。
恐子さんのターゲットが誰なのか、先生達はAちゃんの様子を見ればすぐにわかるような状態でした。
恐子さんは自分の気に入っているママさんや子供が、Aちゃんに挨拶した時は、Aちゃんがきちんと挨拶を返すまで促します。
しかし、ターゲットママやその子供が挨拶をした時に、Aちゃんが挨拶を返さなくてもそのままスルーです。
本当にわかりやすいです。
親としてどうなんだと思うところが多々ありました。
先生達も最初は黙認していましたが、わんことAちゃんの軋轢が長引いたため、間に入ることにしたようです。
先生が私に言ってきたことは、
「Aちゃんのママは自分とAちゃんを同一視しすぎてると思うんです。
Aちゃんのママはわんこちゃんのことをよく思っていなくても、Aちゃんの気持ちは違います。Aちゃんは本当はわんこちゃんのことが大好きなんです。
だからわんこちゃんを傷つけてるのに、Aちゃん自身も辛そうなんです。
自傷行為もすることがあります。
Aちゃんママは、自分とAちゃんは違う人間なんだということを認識しなければいけないと思うんです。
AちゃんママがAちゃんの優しい心を潰してしまう前に、Aちゃんママに話をしようと思います。
そこで、わんこちゃんの名前を出して今後の対策について話し合いたいので、名前を出させてください。
そのことによってまた、わんこちゃんのママが辛い思いをすることになるかもしれません。
その時はまた相談してください。」
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という内容でした。
Aちゃんの自傷行為というのは、自分の髪の毛を隠れて抜いているそうです。
子供の抜毛行為は、思い通りならないストレスがあり、そのモヤモヤを髪の毛を抜くことで解消したり、母親の気を引きたいという気持ちの現れでもあるそうです。
恐子さんの自分の感情に任せた言動は、周りの人達だけでなく大切な我が子まで傷つけていたのです。
母親の言動はまるで鏡のように我が子に影響を及ぼすんだということを改めて知り、私も気をつけなければと思いました。
理想化とこき下ろし
恐子さんの人格障害疑惑を、しばらく3人で検証してみることにしました。
まず、恐子さんの言動を今まで以上に観察しました。
先に挙げた境界線人格障害の特徴として、極端な二極化思考というのがありました。
ちょっとしたことで大好きになったかと思うと、些細なことで大嫌いになる、白か黒かの思考です。
観察していく中で、この二極化思考が恐子さんの大きな特徴だとわかりました。
例を挙げてみましょう。
「あの人地味だし何考えてるかわからないから嫌い」と言っていたMさんが、旅行に行ったからとお土産をくれた。
→「Mさんは控えめで口が固いから信用できる!私は好き!」
「ダメなことはダメときっちり指導してくれるI先生はとてもいい先生!このクラスで良かった!」と言っていたI先生が、Aちゃん(恐子さんの娘)を叱った。
原因はAちゃんがRくんを仲間はずれにしたため。
→「I先生はRくんを贔屓している!最悪な先生!他の先生がよかった。もう挨拶しない。」
クラスで一番何でもできるTちゃん。
恐子さんはTちゃんにAちゃんと仲良くなってもらおうと必死にゴマをすっていた。
「Tちゃんが顔も一番かわいい!服もブランド物でおしゃれ!」
ある日、TちゃんとAちゃんが喧嘩になり(子供同士の些細なこと)それ以降、
→「Tちゃんみたいな濃い顔好きじゃない。近くで見るとそんなに可愛くないし毛深い。服も趣味悪い!」
子供だろうが容赦ありません。
このように、恐子さんの思考は好きが突然嫌いになったり、嫌いが突然好きになるのです。
出来事によっては、朝嫌いだったのに帰りは好きになっているなど数時間ないし一瞬で180度変化するのです。
好きになるととことんまで理想化します。
そこには妄想も入っています。
お土産をくれた→優しい→なんていい人→子供もいい子→旦那さんもいい人に違いない→育ちもいい→親もいいに違いない
このような考えなのです。
恐子さんが喜ぶことをしたら、その人だけでなく、その人を取り巻く環境まで全て最高に良いものになるのです。
逆も然り。
先生が娘を叱った→Rくんを贔屓してる→Rくんの親がゴマすってるからだ→先生のくせに信用できない→ストレスをぶつけてるだけ→ご主人と喧嘩してるんでは?→ご主人は浮気してると思う→仕事に私生活を持ち込むな→園長先生に言ってやる→みんなに言ってやる
妄想が現実だと思い込んでしまうというところも見えました。
恐子さんの機嫌を損ねると、その人の全てが最悪なものと化するのです。
このような恐子さんですから、私もそうですが、突然ターゲットにされた人は理由がわからず戸惑います。
そこにまさか妄想話が入っているなど思いもしませんから、何に怒っているのか理由がわからないのです。
怒っている時はモーレツに怒る、でもふとしたことをキッカケに機嫌が良くなっている。
あれ?おかしいな?
恐子さんはこの繰り返しでした。
私達や先生に対してもそうですから、ご主人に対してはその要素がもっと炸裂していたのではないかと思います。
ご主人と喧嘩(と言っても恐子さんが一方的に怒るようですが)した時なんかは、登園後誰彼構わず捕まえては愚痴のオンパレードでした。
1ヶ月半口を聞いてない、ひたすら無視をしているということを言っていた時期もありました。
その状況に耐えられなくなったご主人がいつも折れているようでした。
ご主人といえど、こうなると徹底的にこき下ろしていました。
「もっといい人がいた。」
「私は金持ちからも付き合ってと言われてた。そっちにすれば良かった。」
「かっこよくないくせに。」
「稼ぎが少ないのに結婚してあげたんた。」
選んだのは自分です。
自分が見る目がなかったんだと言っているようなものですが、恐子さんはそれにはまるで気づいていません。
喧嘩の原因で私が知っているものでは、義母の洗濯物(恐子さんは同居です)が雨に濡れているのに、わざと取り込まなかったことをご主人に咎められたというのがありました。
咎めたと言っても、「自分達の洗濯物を取り込むなら、母さんの洗濯物も入れてやってくれたらいいのに。」という程度のことです。
そりゃそれくらい言いますよね。
でも、恐子さんにとってはそれは裏切りであり、マザコンなのです。
それで1ヶ月半も口を聞いてもらえなかったご主人は気の毒としか言いようがありません。
このように、恐子さんは理想化とこき下ろしが特徴的で、そのアップダウンにどんどん周りの人が疲れていきました。
このような環境で育つAちゃんにも良い影響はないと思っていました。
恐子さんは人格障害!?
ハキ子さんとギャル子さんと私のぐるちゃに、ギャル子さんが興味深いサイトを貼り付けて送ってきました。
「恐子って人格障害じゃない?」
人格障害?初めて聞く言葉でした。
ギャル子さんは人格障害障害について、特徴を挙げているサイトを送ってきました。
人格障害にはいくつか種類があるようですが、恐子さんに当てはまるのは、自己愛性人格障害ではなかろうかと3人で話しました。
大まかに列挙すると、
自己愛性人格(パーソナリティー)障害
・人より優れていると信じている
・権力、成功、自己の魅力について空想を巡らす
・業績や才能を誇張する
・絶え間ない賛美と称賛を期待する
・自分は特別であると信じており、その信念に従って行動する
・人の感情や感覚を認識しそこなう
・人が自分のアイデアや計画に従うことを期待する
・人を利用する
・劣っていると感じた人々に高慢な態度をとる
・嫉妬されていると思い込む
・他人を嫉妬する
・多くの人間関係においてトラブルが見られる
・非現実的な目標を定める
・容易に傷つき、拒否されたと感じる
・脆く崩れやすい自尊心を抱えている
・感傷的にならず、冷淡な人物であるように見える出典:
このような特徴があるそうです。
他にも、平気で嘘をつくなどの特徴もあるそうです。
完全に恐子さんのことだと思いました。
人格障害関連の本も色々読んでみました。
人格障害の人は、まず、自分に有益な人物かどうか嗅ぎ分ける能力に長けているそうです。
初対面の人をじっくり観察し、その優れた嗅覚でこの人だと思えばすり寄ってくるそうです。
ここでの有益というのは、自分に完全服従するような人物かどうかということです。
他人を自分と比較して、常に上か下かということを考え、いつもターゲットを探している。
一度ターゲットにされると、ものすごく執着されるようです。
ターゲットのアラを探し、攻撃し、手段を選ばずとことんまで陥れるという特徴もあるそうです。
とにかく、ターゲットを攻め上げることに関しては天才的だそうです。
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また、境界線人格(パーソナリティー)障害についての本も読みました。
こちらの特徴も恐子さんに当てはまっていました。
境界線人格(パーソナリティー)障害
・現実または妄想で、人に見捨てられることを強く恐れ、不安を抱いている。
・対人関係の変動が激しく、コミュニケーションが安定しない。
・気分や感情がめまぐるしく変わり、周囲の人々がついてこられない。
・感情のブレーキが効かず、ちょっとしたことで癇癪(かんしゃく)を起こしたり、
激しく怒り、傷つきやすい。
・自殺のそぶりや自傷行為を繰り返し、周囲に動揺を与える。
・自己を損なう行為(薬物・アルコール・セックス・万引き・過食・買い物など)に依存しやすくなる。
・いつも空虚な気持ちを抱き、幸せを感じにくい。
・生きることに対して辛さや違和感を持ち、自分が何者であるかわからない感覚を抱いている。
・強いストレスがかかったとき、一時的に記憶がなくなり、精神病状態に似た症状を
起こしやすい。出典:
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境界線人格障害はボーダーとも呼ばれ、思考は白か黒で、グレーはないそうです。
簡単に言うと、どんな人間にもいろんな面がありますよね。
例えば、一般的には、人間は良いところも悪いところもあるけど、総合的に判断してそれもその人の一部だと考えます。
ボーダーの人はその思考がありません。
ちょっとしたことですごく好きになって、理想化したかと思えば、些細なことで大嫌いになるのです。
昨日までは大好きだったけど、今日は大嫌いになれるのです。その逆もあります。
嫌いになる、つまりターゲットにされると否応なしにこき下ろすそうです。
この理想化とこき下ろしが大きな特徴で、人間関係に支障が出るようです。
これも恐子さんに当てはまっています。
おそらく、今は私がターゲットになっていて、昨日まで嫌いだったセレブさんは嫌いでは無くなったのでしょう。
最初はセレブさんを理想化し、セレブさんの些細な言動で今度は突然こき下ろし、新たなターゲットが現れたため、ターゲットから外されたのでしょう。
こういうことが平気でできるのです。
執拗なまでに攻撃されるのかと思うと、不安で私が登園拒否になりそうでした。
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恐子さんからの依頼
ある日旦那が帰宅して、
「恐子さんから電話がかかってきた。仕事の依頼があった。」
と言いました。
そういえば、家族参観日の時に、旦那に家の柵を設置してほしいと言っていたのを思い出しました。
最近の恐子さんの様子を旦那に話すと、
「嫌いだった人を急に好きになったり、近づこうとしていた人を急に嫌いになったり、あの人やっぱりおかしいよ!
平気で嘘をついて人の評判落とすなんて相当だよ。お前恐子さんと近づき過ぎるなよ。」
と言いました。最もだと思います。
私の問題はさて置き、旦那に仕事の依頼があったとなると、自分の妻との間にママ友トラブルがあったからと言って断るわけにはいきません。
仕事中にもし恐子さんの気に入らない言動をしてしまったら、アラを探して難癖つけられるのではないかという心配もあります。
それを機に私もまた無視されたり、何かトラブルに発展してしまったりするでしょう。
もう想像しただけで、恐怖です。
何事もないように祈ることしかできません。
翌日、登園すると恐子さんが、
「ご主人に仕事をお願いしたよ。何か言ってた?電話ではすごく喜んでいたけど。他に安いところもあったんだけど、まうみちゃさんの旦那さんのところでしてあげようと思って。」
と言ってきました。
丁重にお礼を言いましたが、その後も事あるごとに、「他にもっと安いところもあったのよ。」と言われ、めんどくさかったです。
安くしろと言ってるんだろうなと思い、旦那にも伝えるとかなり値引きしたと言っていました。
その後、旦那と同僚の2人で恐子さん宅のフェンスの設置作業が無事終わりました。
終始愛想良く、お茶も出してくれたそうで、問題なく終わったことに胸をなでおろしました。
ところが翌日・・・
登園後、「フェンスの色合いがイメージと違うのよねぇ。質感も思っていたのと違った。ご主人に伝えてもらえる?やり直してもらえないかなあ?」
と・・・。
青ざめました。
恐子さんはニタニタと笑って、私がオロオロしているのを見ていました。
旦那に伝えると、
「サンプルも見せまし、3Dのイメージ画像も見せた。打ち合わせに不備はなかった。イメージが違うからという理由で、やり直しは無理だ。俺から連絡を入れる。」
と言いました。
その夜、旦那は恐子さんに電話で説明し、なんとかわかってもらえたと言っていました。
が・・・、
翌朝、「フェンスのせいで家全体が安っぽくなったのよ。別の業者にするべきだった。ほんと最悪なんだけど。」
取り巻きママ達に話しているのですが、わざと私に聞こえるように言っていることは明白でした。
その時の恐子さんは、ニヤニヤ笑って好奇に満ちた顔をしていました。
それを見て、あぁこの人は人が困っている様子を見るのがたまらなく嬉しいんだな、と思いました。
恐子さんが危険人物であることが再認識できました。
翌日からまた私への挨拶は無くなりました。その代わりに、セレブさんへは挨拶をするようになりました。
ターゲットが、セレブさんからまた私へ移ったようでした。
私はその頃から、冷静に恐子さんを分析し始めました。
あれほど特異な人は今まで出会ったことがなく、決して近づきたくはないのですが、なぜ恐子さんがあのような人間なのか根底にあるものを探りたくなったのです。
その頃、ハキ子さんとギャル子さんと食事に行くこともあり、3人のぐるちゃを作っていました。
2人は、いつのまにかまた私がターゲットになっていることに驚き、ぐるちゃで恐子さんについて色々な会話をしていました。
ある日、ギャル子さんがとても興味深いサイトを教えてくれました。
続く・・・
恐子さんの取り巻き
恐子さんは新たなママ友獲得の為か、再びいろんなママさんに話しかけるようになっていました。
恐子さんのお眼鏡にかなったママさん2人を引き連れ、ハキ子さん、ギャル子さん、私を誘いまたランチ会を計画し始めました。
恐子さんにスカウトされたママさん2人は、どちらも気の弱そうな大人しい人でした。
恐子さんがセレブさんの悪口を言い始めると、
「あー、わかる。いつもブランド物を着てるから近づきにくいよね。いい歳して若作りだよね。」
「今日もでっかいサングラスをかけてて芸能人気取りだったよ。」
「先生にこんなことを言ってたよ。」
などと同調したり、新たな情報提供をする様子も見受けられました。
まさに恐子さんが求めていた人物だったようで、その日以来3人で固まってよく話をするようになりました。
遠目から見ても、3人とも眉間にシワを寄せて話しているので、悪口で盛り上がっているのは一目瞭然でした。
セレブさんは毎朝挨拶をしていましたが、恐子さんは相変わらず無視をしていました。
私がされたのと同じ感じのヤツです。
恐子さんの取り巻きと化した2人のママさんは、単独の時は挨拶をしていますが、恐子さんが側にいると同じように無視をしていました。
セレブさんは気にする様子もなく、いや本当は気にしているとは思いますが、そんな風には全く見せずいつもにこやかで堂々としていました。
ある日、幼稚園帰りにコンビニ寄ると、恐子さんの取り巻きママの1人と会いました。
私は思い切ってセレブさんのことを聞いてみました。
セレブさんは恐子さんが思っているような人ではないこと。
私の目からみたセレブさん像。
挨拶をしないのは良くないこと。
私もついこの前まで同じ目に遭って辛かったこと。
取り巻きママさんは真剣に聞いてくれ、次のように言いました。
恐子さんはとても怖い人で逆らえない。
嘘をついてセレブさんの名誉を落とすことを他のママさんや先生に言っている。
恐子さんの前で一度セレブさんに挨拶をしたら、「どうして挨拶するの!挨拶なんかしなくていい!私と同じように思ってるくせに、セレブさんにもいい顔するなんて信用できない!」と怒られた。
本当はセレブさんのことが嫌いなわけではない。
ということでした。
嘘をついて名誉を落としているというのは、セレブさんが不倫をしているというようなことを言っているそうです。
理由としては、
「あんなにオシャレして化粧もバッチリしてるなんて他の男に色目を使う為以外考えられない。旦那があまりかっこよくないから不満に思っているんだろう。」
という何の根拠もへったくれもない恐子さん思い込みによるものだそうです。
その取り巻きママさんは、セレブさんと登園時間が大体同じなのでスパイのような役もさせられているそうです。
恐子さんに聞かれる内容は、
どんな服を着ていたか。
先生と何を話していたか。
というたわいもないものですが、とにかく毎日聞かれるのでチェックして報告するのが日課となっているとのことでした。
恐子さんとはラインで頻繁にやり取りもしていて、恐子さん自体がとても威圧的で今更離れるわけにはいかない、でもできることなら離れたいと悩んでいるようなことも言っていました。
もう一人の取り巻きのママさんはどう思っているのかはわかりませんが、このママさんと恐子さんは主従関係のような感じがしました。
私は何とか恐子さんと距離を置いた方が良い、と伝えてその日は別れました。
しかし、嘘までついて人を陥れようとするなんて、恐子さんは思っている以上に危険人物かもしれないとさらに恐怖感をおぼえました。
恐子さんの豹変
家族参観日以降、恐子さんの態度が豹変しました。
翌日から目を見てちゃんと挨拶はするわ、馴れ馴れしく話しかけてくるわ、あろうことかボディタッチまでしてくるようになりました。
電話番号まで交換する羽目になり、裏にどんな意図があるのか怖くて仕方ありませんでした。
ハキ子さんはじめ、他のママさん達も首を傾げていました。
ある日、恐子さんが、
「うちの家柵がまだ無いから、柵をしようと思うんだ。まうみちゃさんのご主人ってエクステリア関係のお仕事だよね?お願いしようと思うから名刺をくれない?」
と言ってきました。
何か面倒なことにならなければいいけど・・・と思いながら、家に帰って旦那に話すと、仕事をくれるのならありがたいと言っていたので、名刺を預かって翌日恐子さんに渡しました。
それからも恐子さんは機嫌良く、ある日ランチに誘ってきました。
恐子さん、ハキ子さん、ギャル子さん、私の4人で行くことになりました。
席に座るやいなや、恐子さんは同じクラスのママさんの悪口を言いはじめました。
ターゲットは家族参観日の前日に恐子さんが食らいついていた、ご主人が大手企業に勤めているママさんでした。
セレブ風でセンスのいいママさんで、PTAの役員をやってくれている人です。
控え目で責任感があって、役員の仕事もそつなくされていて、一目置かれるような存在のママです。
ここではセレブさん、とします。
恐子さんの言い分はこうでした。
・セレブさんはご主人の仕事を鼻にかけている。
・セレブさんは行事の時に毎回しきるから出たがりだ。
・セレブさんは赤ちゃんにラルフローレンを着せているから金持ちアピールだ。
・セレブさんのご主人は愛想が悪い。恐子さんの家族を生活水準が低いと思って馬鹿にしている。
・セレブさんはアウディに乗っているが、あれはグレードが低いやつだから見栄っ張りだ。
かいつまんで言うとこのような内容でした。
セレブさんは確かにお金持ちで、身なりもきちんとしていて高そうな服を着ていますが、とても気さくな人で全くそれを鼻にかけていません。
行事の時にまとめ役になるのは役員さんだからです。
普通は上の年長さんの役員ママがしきるみたいなのですが、そういうのが苦手そうな若いママさんなのでセレブさんがまとめ役になっている状態です。
現に、テキパキまとめてくれてみんな助かっています。
セレブさんのご主人は寡黙な人ですが、きちんと挨拶などはしていました。男性ですし、初対面の人にベラベラ話す人の方が少ないでしょう。
セレブさんは人当たりが良くて気取っていないので、悪い印象を持っている人はほとんどいないと思います。
恐子さんが言っていることは、ただの僻みと思い込みとしか思えません。
ハキ子さんもギャル子さんも私もそれに関しては誰も同調しませんでした。
かと言って強く否定するわけにもいかないので、
「そんなことないと思うけど。」
「私は嫌いじゃないなあ。」
という感じで話は聞くが、一緒になって悪口を言うことはありませんでした。
それに対して恐子さんは、
「みんな呑気すぎない?ちゃんと人のこと見ないと!」
とこちらの見る目が無いような言い方をしていました。
そんな感じのランチでしたが、こちらに飛び火するようなことはなく無事に終わりました。
この日のランチの会話から、恐子さんは思い込みがとても激しい一面があるとわかりました。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという感じで、1つ気に入らないところがあると全てが嫌いになってしまうようです。
そして、かなりのマイナス思考だということ。
一緒にいて元気が吸い取られる感じで、ランチが終わる頃にはどっと疲れたしまいました。
思えば初対面のあの日、挨拶してもらえなかったこの前まで、私の些細な行動を今日のように被害妄想的に捉えていたのではないでしょうか。
例えば私の服装や話し方が、恐子さんにとっては気に入らないものであった為に、私という人間が一瞬にして最低人間になったのだろうと思います。
機嫌が良くなったのはやはり旦那の愛想が良かったから、妻の私もイコールで結ばれたのかな?
その辺が謎です。恐子さんのツボがイマイチ理解できません。
ご主人が大手の会社員だと知って仲良くなろうと思っていたのに、自分の思っていたような人ではなかったのでセレブさんがターゲットになってしまったのでしょう。
その日から恐子さんはセレブさんに挨拶をしなくなりました。
代わりにハキ子さんとギャル子さんと私にベッタリになり、再び不穏な空気が流れ始めたのです。