理想化とこき下ろし
恐子さんの人格障害疑惑を、しばらく3人で検証してみることにしました。
まず、恐子さんの言動を今まで以上に観察しました。
先に挙げた境界線人格障害の特徴として、極端な二極化思考というのがありました。
ちょっとしたことで大好きになったかと思うと、些細なことで大嫌いになる、白か黒かの思考です。
観察していく中で、この二極化思考が恐子さんの大きな特徴だとわかりました。
例を挙げてみましょう。
「あの人地味だし何考えてるかわからないから嫌い」と言っていたMさんが、旅行に行ったからとお土産をくれた。
→「Mさんは控えめで口が固いから信用できる!私は好き!」
「ダメなことはダメときっちり指導してくれるI先生はとてもいい先生!このクラスで良かった!」と言っていたI先生が、Aちゃん(恐子さんの娘)を叱った。
原因はAちゃんがRくんを仲間はずれにしたため。
→「I先生はRくんを贔屓している!最悪な先生!他の先生がよかった。もう挨拶しない。」
クラスで一番何でもできるTちゃん。
恐子さんはTちゃんにAちゃんと仲良くなってもらおうと必死にゴマをすっていた。
「Tちゃんが顔も一番かわいい!服もブランド物でおしゃれ!」
ある日、TちゃんとAちゃんが喧嘩になり(子供同士の些細なこと)それ以降、
→「Tちゃんみたいな濃い顔好きじゃない。近くで見るとそんなに可愛くないし毛深い。服も趣味悪い!」
子供だろうが容赦ありません。
このように、恐子さんの思考は好きが突然嫌いになったり、嫌いが突然好きになるのです。
出来事によっては、朝嫌いだったのに帰りは好きになっているなど数時間ないし一瞬で180度変化するのです。
好きになるととことんまで理想化します。
そこには妄想も入っています。
お土産をくれた→優しい→なんていい人→子供もいい子→旦那さんもいい人に違いない→育ちもいい→親もいいに違いない
このような考えなのです。
恐子さんが喜ぶことをしたら、その人だけでなく、その人を取り巻く環境まで全て最高に良いものになるのです。
逆も然り。
先生が娘を叱った→Rくんを贔屓してる→Rくんの親がゴマすってるからだ→先生のくせに信用できない→ストレスをぶつけてるだけ→ご主人と喧嘩してるんでは?→ご主人は浮気してると思う→仕事に私生活を持ち込むな→園長先生に言ってやる→みんなに言ってやる
妄想が現実だと思い込んでしまうというところも見えました。
恐子さんの機嫌を損ねると、その人の全てが最悪なものと化するのです。
このような恐子さんですから、私もそうですが、突然ターゲットにされた人は理由がわからず戸惑います。
そこにまさか妄想話が入っているなど思いもしませんから、何に怒っているのか理由がわからないのです。
怒っている時はモーレツに怒る、でもふとしたことをキッカケに機嫌が良くなっている。
あれ?おかしいな?
恐子さんはこの繰り返しでした。
私達や先生に対してもそうですから、ご主人に対してはその要素がもっと炸裂していたのではないかと思います。
ご主人と喧嘩(と言っても恐子さんが一方的に怒るようですが)した時なんかは、登園後誰彼構わず捕まえては愚痴のオンパレードでした。
1ヶ月半口を聞いてない、ひたすら無視をしているということを言っていた時期もありました。
その状況に耐えられなくなったご主人がいつも折れているようでした。
ご主人といえど、こうなると徹底的にこき下ろしていました。
「もっといい人がいた。」
「私は金持ちからも付き合ってと言われてた。そっちにすれば良かった。」
「かっこよくないくせに。」
「稼ぎが少ないのに結婚してあげたんた。」
選んだのは自分です。
自分が見る目がなかったんだと言っているようなものですが、恐子さんはそれにはまるで気づいていません。
喧嘩の原因で私が知っているものでは、義母の洗濯物(恐子さんは同居です)が雨に濡れているのに、わざと取り込まなかったことをご主人に咎められたというのがありました。
咎めたと言っても、「自分達の洗濯物を取り込むなら、母さんの洗濯物も入れてやってくれたらいいのに。」という程度のことです。
そりゃそれくらい言いますよね。
でも、恐子さんにとってはそれは裏切りであり、マザコンなのです。
それで1ヶ月半も口を聞いてもらえなかったご主人は気の毒としか言いようがありません。
このように、恐子さんは理想化とこき下ろしが特徴的で、そのアップダウンにどんどん周りの人が疲れていきました。
このような環境で育つAちゃんにも良い影響はないと思っていました。